2020.09.16
新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症 これまでの総括と提言

 2020年早々に中国から発した新型コロナウイルス感染症が、年も終わりに近づいてきた現在に至っても世界中を席巻しています。

 当初のイタリアやニューヨーク州での医療崩壊の報道が非常にセンセーショナルだったこと、志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなられたこと、の影響が、未だに我々の心理に大きな影響を与えているように思います。

 しかしこの半年以上の経験から、幸いなことに、欧米諸国やブラジル、インドといった諸外国に比して、日本を始めとしたアジア地域でのこのウイルスのインパクトは、ずいぶん小さいようだということも分かってきています。

 これまでに分かってきたことを整理しておこうと思います。
 以下の記載は日本のものであることを最初にお断りしておきます。

●これまでに分かった新型コロナウイルス(以後、新コロと略記)感染症の自然歴など

・新コロは従来から言われている飛沫感染、接触感染の他に、空気感染もしている可能性が非常に高い。従って、マスク+手洗い(手指消毒)+ソーシャルディスタンスのみではどうしても100%の予防は出来ない。同じ空間で時間を過ごす以上、一定の感染リスクはある。

・感染しても80%の人には風邪を引いた程度の症状しか起こさない。無症状の人も多い。(約半数)一方、約10%前後は”重症化”して1%程度が死亡するとされるが、重症化の要因は65歳以上の高齢、コントロール不良の糖尿病や高度肥満であると分かってきている。日本での死亡者の平均年齢は79歳。40歳未満での死亡率は<0.1%。

・季節性インフルエンザは毎年冬期を中心に流行し、国民の多くがワクチンを接種しているにも拘わらず、インフルエンザが直接の原因となる死亡が約3,000人、関連死を含めると約10,000人にのぼる。一方で新コロ感染症はこれまで約9ヶ月間で約1,500人台の死亡にとどまっており、命に関わる確率は今のところインフルエンザよりもずっと低い。

・緊急事態宣言で人々が自粛した後も東京などの都市圏の感染者数、死亡者数のグラフにほとんど変化はなかった。日本でも欧米でも、自粛が有効であったか(≒抑圧政策が成功したか否か)については大いに疑問が呈されている。

・幸いなことに諸外国に比しとりわけ日本人は、このウイルスに強い。その要因(Factor X)は未だ不明であるが、従来のコロナウイルス感染症や結核(BCG接種)との交差免疫説、日本人の清潔観念や生活習慣説、既に集団免疫を獲得している説、などがある。


●黒瀬の所感と今後に向けての提言

・例えワクチンや治療薬ができても、本ウイルスの撲滅はおそらく難しい。季節性インフルエンザと同じく、人類が付き合っていくことになる感染症と思われる。これまでにもあった通常のコロナウイルス感染症の一亜型として、残っていくのでしょう。

・当初は、得体が知れなかったことから、経済も文化も学校ですらも止めて国民全体が自粛しましたが、インフルエンザよりもずっと致死率が低いと分かった今、もはや過剰な自粛は不要と考えます。これまで我々が共生してきた季節性インフルエンザと同様に、周囲で流行っているような場合にはマスクや手洗いといった一般的な感染防御策を講ずる、ということで十分ではないでしょうか。

・風邪や季節性インフルエンザと同様、これから冬に向けて、感染者数は当然ながら増加します。しかし他のそうした感染症と同様、大半の人は自然に治りますので過剰な心配は不要です。

・診断の手段として、PCR検査というのがありますが、特効薬のない現段階においては、診断をつけることそのものに、さしたる意味はありません。慌てて医療機関にかかるのではなく、発熱している期間、そして解熱してから2日間程度は、自宅で待機しましょう。この点は風邪や季節性インフルエンザなど、他の感染症も同様です。

・重症化のサインは咳と呼吸困難です。万が一待機中にそのような症状があれば、まずはかかりつけ医に電話で相談し、どうすればいいかの指示を仰ぎましょう。

・既に大きな影響が出ている経済、文化、教育の再生は待ったなしです。むやみに恐れるのではなく率先して、日常を取り戻しましょう。

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